○金沢大学研究活動不正行為等防止規程
(平成27年4月1日規程第2274号)
改正
(趣旨)
第1条
この規程は,研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン(平成26年8月26日文部科学大臣決定。以下「ガイドライン」という。)及び金沢大学研究者行動規範(平成20年1月22日制定)の趣旨を踏まえ,国立大学法人金沢大学コンプライアンス基本規則第12条に基づき,金沢大学(以下「本学」という。)における研究活動の不正防止に関し,必要な事項を定める。
(目的)
第2条
この規程は,研究活動が真実の探求を積み重ね,新たな知を創造していく営みであり,科学研究の実施が社会からの信頼と負託の上に成り立っていることに鑑み,研究機関である本学が,組織として責任体制の確立による管理責任の明確化を図り,もって研究活動の不正行為を事前に防止することを目的とする。
(定義)
第3条
この規程において対象とする研究活動における不正行為(以下「特定不正行為」という。)とは,故意又は研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことによる,次に掲げる行為をいう。
(1)
捏造 存在しないデータ,研究成果等を作成すること。
(2)
改ざん 研究資料?機器?過程を変更する操作を行い,データ,研究活動によって得られた結果等を真正でないものにすること。
(3)
盗用 他の研究者のアイディア,分析?解析方法,データ,研究成果,論文若しくは用語を当該研究者の了解又は適切な表示なく流用すること。
2
前項に定める特定不正行為のほか,次に掲げる行為については,研究活動における不適切な行為として,特定不正行為に準じて取り扱うものとする。
(1)
二重投稿 他の学術誌等に既発表又は投稿中の論文と本質的に同じ論文を投稿すること。
(2)
不適切なオーサーシップ 論文著作者を適正に公表せずに論文を投稿すること。
(3)
前2号に掲げるもののほか,金沢大学研究者行動規範及び社会通念に照らして研究者倫理からの逸脱の程度が甚だしいもの
(最高管理責任者)
第4条
本学における研究活動の不正防止及び対応に関する最高管理責任者は学長とする。
2
学長は,研究活動における行動指針を定めるとともに,次条に定める研究不正防止責任者が責任をもって研究活動を管理できるようリーダーシップを発揮して不正行為の防止等に努めなければならない。
(研究不正防止責任者)
第5条
本学における研究活動上の不正行為の防止等について総括するとともに,次条第2項に定める研究倫理教育を推進するため,研究不正防止責任者を置き,研究担当理事をもって充てる。
(研究倫理教育責任者)
第6条
各部局(金沢大学学則第22条第1項に規定する部局をいう。以下同じ。)に,研究倫理教育責任者を置き,当該部局の長をもって充てる。
2
研究倫理教育責任者は,当該部局に所属する研究活動に従事する者を対象に定期的に研究者等に求められる倫理規範の修得等をさせるための教育(以下「研究倫理教育」という。)を実施するとともに,当該部局における研究活動上の不正行為の防止等に関し統括する。
3
研究倫理教育責任者は,前項に規定するもののほか,各研究科の教育研究上の目的及び専攻分野の特性に応じて,大学院の学生に対して研究者倫理に関する知識及び技術が身に付くよう教育課程の内外を問わず研究倫理教育の適切な機会を設けるものとする。また,学域学生に対しても研究者倫理に関する基礎的素養の修得に必要な研究倫理教育を受けることができるよう配慮しなければならない。
4
前2項に定める研究倫理教育には,研究データとなる実験?観察ノート等の記録媒体の作成(作成方法等を含む。)?保管,実験試料?試薬の保存,論文作成の際の各研究者間における役割分担?責任関係の明確化,利益相反の考え方,守秘義務等,研究活動に関して守るべき作法についての知識及び技術に関する項目を含めるものとする。
5
研究倫理教育責任者は,共同研究における当該部局の個々の研究者等がそれぞれの役割分担?責任を明確化すること並びに複数の研究者による研究活動の全容を把握?管理する立場にある代表研究者が当該部局に所属する場合は当該代表研究者が研究活動及び研究成果を適切に確認していくことを促すとともに,当該部局に所属する若手研究者等が自立した研究活動を遂行できるようメンターの配置等による適切な支援?助言等が行われる環境の整備に努めなければならない。
(本学研究者の責務)
第7条
本学に雇用されて研究活動に従事している者及び本学の施設や設備を利用して研究に携わる者(以下「本学研究者」という。)は,適切な研究活動を行うとともに,他者による不正行為の防止に努めなければならない。
2
本学研究者は,研究倫理活動に係る法令等に関する研修等を受講しなければならない。
(研究データ等の保存?開示)
第8条
本学研究者は,研究によって生じた生データ,実験?観察ノート,実験試料?試薬等の研究データ等を研究が終了若しくは中止したとき又は研究に基づく論文等が公表されたときのいずれか遅い時期から,電子データ及び実験?観察ノートは10年間,その他の研究データ等は5年間,善良なる管理者の注意義務をもって保存し,開示の必要性及び相当性が認められる場合は,これを開示しなければならない。
(不正行為の禁止)
第9条
本学研究者は,特定不正行為及び研究活動における不適切な行為を行ってはならない。
(研究不正調査責任者)
第10条
本学の研究活動における特定不正行為に対応する責任者は,国立大学法人金沢大学コンプライアンス基本規則第6条に定めるコンプライアンス総括責任者(以下「コンプライアンス総括責任者」という。)とする。
ただし,コンプライアンス総括責任者が,告発のあった事案について告発者及び被告発者と直接の利害関係にあるときは,学長が指名する理事(以下「研究不正調査責任者」という。)とする。
(特定不正行為の受付窓口)
第11条
特定不正行為に関する告発(以下「告発」という。)又は告発の意思を明示しない相談(以下「相談」という。)を受け付ける窓口(以下「受付窓口」という。)は,国立大学法人金沢大学公益通報者保護規程第5条に定める窓口とする。
2
告発又は相談を受け付けた部署は,受付窓口に当該事案を回付するものとする。
3
受付窓口は,告発又は相談があったときは,その内容を直ちにコンプライアンス総括責任者に報告するものとする。
(告発の取扱い)
第12条
告発は,顕名によるものとし,書面,電話,ファクシミリ,電子メール,面談等により受付窓口に直接行うものとする。
2
告発は,特定不正行為を行ったとする研究者?グループ,特定不正行為の態様その他事案の内容が明示され,かつ,不正とする科学的な合理性のある理由が示されているものに限り受け付けるものとする。
3
第1項の規定にかかわらず,匿名による告発があった場合において,告発の内容が相当程度信頼に足るものと学長が認めたときは,顕名の告発に準じて取り扱うことができるものとする。
4
コンプライアンス総括責任者は,受付窓口が告発を受け付けたか否かを告発者が知り得ない方法による告発がなされた場合は,告発を受け付けたことを告発者に通知するものとする。
ただし,匿名による告発については,この限りではない。
5
コンプライアンス総括責任者は,告発のあった事案が,本学以外の他の機関においても調査を行うことが想定される場合は,当該機関にも告発内容を通知するものとする。
6
本学は,告発のあった事案について,ガイドラインが定める調査機関に本学が該当しない場合は,調査機関としてガイドラインが定める機関に当該事案を回付する。
(相談への対応)
第13条
告発の意思を明示しない受付窓口への相談については,研究不正調査責任者がその内容に応じ,告発に準じてその内容を確認?精査し,相当の理由があると認めたときは,相談者に対して告発の意思の有無を確認するものとする。
2
前項において,相談者から告発の意思表示がなされない場合であっても,学長が特に必要と認めたときは,当該事案について調査を行うことがある。
(警告)
第14条
研究不正調査責任者は,特定不正行為が行われようとしている,若しくは特定不正行為を求められているとの告発又は相談を受けた場合は,その内容を確認?精査し,相当の理由があると認めたときは,学長に報告するものとする。
2
学長は,前項の報告を受けた場合は,その内容を確認し,相当の理由があると認めたときは,被告発者に警告を行うものとする。
ただし,本学が被告発者の所属する機関でないときは,本学は被告発者の所属する機関に事案を回付するものとする。
(秘密保持)
第15条
特定不正行為に関する告発又は相談について,業務上その内容を知り得た者は,その事案の調査結果が公表されるまで関係者以外の者に漏らしてはならない。また,調査に協力した役員,職員,学生等も同様とする。
(例外的公表)
第16条
本学は,調査事案が何らかの事由により漏えいした場合(告発者又は被告発者の責により漏えいした場合を除く。)は,告発者及び被告発者の了解を得て,調査中の事案について公表することがある。
(告発者の保護)
第17条
本学は,単に告発を行ったことを理由にして告発者に対し,解雇,降格,減給その他不利益な取扱いを行わない。
(悪意に基づく告発の禁止)
第18条
何人も,被告発者を陥れること,被告発者が行う研究を妨害すること等,専ら被告発者に何らかの損害を与えること又は被告発者が所属する機関?組織等に不利益を与えることを目的とした意思(以下「悪意」という。)に基づく告発を行ってはならない。
(被告発者の保護)
第19条
本学は,相当な理由がないにもかかわらず単に告発がなされたことをもって,被告発者の研究活動の一部又はすべてについて制限を加えること及び被告発者に対して解雇,降格,減給その他不利益な取扱いを行わない。
(調査関係者の保護)
第20条
学長は,告発者,被告発者,調査協力者若しくは関係者に連絡し,又は通知するときは,告発者,被告発者,調査協力者及び関係者の人権,名誉,プライバシー等を侵害することのないよう配慮するものとする。
(不正疑惑報道等への対応)
第21条
本学は,本学研究者の特定不正行為の疑いが学会等の科学コミュニティ又は報道により指摘された場合は,本学に告発があった場合に準じた取扱いをすることがある。
2
本学は,本学研究者の特定不正行為の疑いがインターネット上に掲載され,かつ,特定不正行為を行ったとする研究者?グループ,特定不正行為の態様等,事案の内容が掲示され,不正とする科学的な合理性のある理由が示されていることを確認した場合は,本学に告発があった場合に準じた取扱いをすることがある。
(事案の調査)
第22条
本学は,本学研究者に係る特定不正行為の告発が本学にあった場合(他の機関において告発があり,回付された事案を含む。以下同じ。)は,原則として,告発された事案について調査を行う。
2
本学は,複数の機関に所属する本学研究者に係る特定不正行為の告発が本学にあった場合は,当該研究者が所属する関係機関と協議の上,合同で調査を行うものとする。
ただし,協議の結果,特段の定めをした場合は,その定めによるものとする。
3
本学は,本学研究者が以前に所属していた研究機関における研究活動に係る告発が本学にあった場合は,当該機関に告発内容を通知し,原則として当該機関と合同で調査を行う。
4
本学は,本学に以前に所属していた研究者が本学に所属していた期間における研究活動に係る告発が本学にあった場合は,当該研究者が現に所属する研究機関に告発内容を通知し,原則として当該機関と合同で調査を行う。
ただし,当該研究者が現に所属する機関がないときは,本学が調査を行うものとする。
5
本学は,前4項の規定に基づき誠実に調査を行ったにもかかわらず,調査の実施が極めて困難な状況にある場合は,告発された事案における研究活動に係る予算を配分し,又は措置した機関(以下「配分機関」という。)にその状況を報告するものとし,当該事案について,その配分機関が調査を行うときは,これに協力する。
6
本学は,特に必要があると認めるときは,他の研究機関及び学会等の科学コミュニティに調査を委託すること又は調査を実施する上での協力を求めることがある。
(予備調査)
第23条
本学は,告発を受け付けたときは,速やかに告発された特定不正行為が行われた可能性,告発の際に示された科学的な合理性のある理由の論理性,告発された事案に係る研究活動の告発までの期間が,生データ,実験?観察ノート,実験試料?試薬等の研究成果の事後の検証を可能とするものについての各研究分野の特性に応じた合理的な保存期間又は本学が定める保存期間内であること等の告発内容の合理性,調査可能性等について,予備調査を行う。
2
予備調査は,研究不正調査責任者及び学長が指名する者で組織する研究不正予備調査委員会(以下「予備調査委員会」という。)が行う。
3
予備調査委員会に委員長を置き,研究不正調査責任者をもって充てる。
4
予備調査委員会は,告発がなされる前に取り下げられた論文等に対する予備調査については,取下げに至った経緯?事情を含め,特定不正行為に係る事案として調査する必要性を調査する。
5
予備調査委員会は,特に必要があると認めたときは,証拠となり得る関係書類,研究ノート,実験資料等を保全する措置をとることができる。
6
本学は,予備調査の結果,告発がなされた事案が本格的な調査をすべきものと判断した場合は,本格的な調査(以下「本調査」という。)を行う。
7
本学は,予備調査の結果,告発がなされた事案について本調査を行わないことを決定したときは,その旨を理由とともに告発者に通知するものとする。
8
前項に規定する場合において,本学は,予備調査に係る資料等を保存し,当該事案に係る配分機関若しくは関係府省又は告発者から請求があった場合は,当該資料等を開示するものとする。
9
予備調査は,告発を受け付けた日(他機関から回付があったときは,回付を受け付けた日)から概ね30日以内に終了するものとする。
ただし,調査対象機関が本学以外の機関に及ぶ場合は,当該機関の調査に要する期間を加えることができる。
10
第6項及び第7項に規定する判断及び決定は,予備調査委員会の報告に基づき,学長が行う。
(本調査)
第24条
学長は,前条第6項に規定する本調査の実施を決定したときは,告発者及び被告発者に対し,本調査を行うことを通知し,調査への協力を求めるとともに,当該事案に係る配分機関及び関係府省にこの旨を報告する。
2
前項に規定する場合において,被告発者が本学以外の機関に所属するときは,併せて当該機関に通知するものとする。
3
本学は,前条第6項に規定する本調査の実施の決定を行った日から概ね30日以内に本調査を開始するものとする。
(特定不正行為調査委員会)
第25条
学長は,本調査の実施を決定したときは,本学に特定不正行為調査委員会(以下「本調査委員会」という。)を設置する。
2
本調査委員会は,当該事案の調査に関し,関係する論文,実験?観察ノート,生データ等の各種資料の保全及び提出を求めること,関係者から事情を聴取すること,再実験を要請すること等必要な権限を有する。
3
本調査委員会は,次に掲げる委員をもって組織する。
(1)
研究不正調査責任者
(2)
学長が指名する役職員 若干名
(3)
外部有識者 2名以上
4
前項第3号の委員の数は,委員の総数の2分の1以上とする。
5
本調査委員会に委員長を置き,第3項第1号の委員をもって充てる。
6
委員は,告発者及び被告発者と直接の利害関係を有しない者とする。
7
本調査委員会は,当該事案の調査が終了したときは,直ちに調査結果を学長に報告するものとする。
8
本調査委員会は,第33条第1項に規定する不服申立ての受付期限の日の翌日をもって任務を終了する。
ただし,不服申立てがあり,本調査委員会において不服申立てに基づく審査等を行う場合は,当該審査結果の報告を学長に行ったときに任務を終了するものとする。
(本調査委員会委員の通知)
第26条
学長は,本調査委員会を設置したときは,本調査委員会委員の氏名及び所属を告発者及び被告発者に通知するものとする。
(異議申し立て)
第27条
告発者及び被告発者は,前条の通知を受け取った日から7日以内に,理由を付して本調査委員会委員の選任について学長に異議を申し立てることができる。
2
学長は,前項の申立てがあった場合は,その内容を審査し,妥当と判断したときは,当該委員の交代又は解任を行うものとする。
3
学長は,前項に規定する審査結果及びその対応を告発者及び被告発者に通知するものとする。
(調査方法)
第28条
本調査委員会は,告発された事案に係る研究活動に関する論文,実験?観察ノート,生データ等の各種資料の精査,関係者からの事情聴取,本調査委員会の要請又は被告発者の申し出による再実験の実施等により調査する。
2
前項の調査に当たっては,本調査委員会は,被告発者から弁明の聴取を行わなければならない。
3
第1項の再実験を行う場合は,それに要する期間及び機会(機器,経費等を含む。)に関し,本調査委員会が合理的に必要と判断する範囲内において,本調査委員会の指導?監督の下に行うものとする。
4
本調査委員会が本学以外の機関において調査を実施することが必要と判断したときは,本学は当該機関に調査の協力を要請するものとする。
5
本調査委員会は,告発に係る研究活動のほか,本調査委員会が必要と判断したときは,調査に関連した被告発者の研究活動を調査対象に含めることができる。
6
本調査委員会は,調査に当たって,公表前のデータ,論文等の研究又は技術上秘密とすべき情報が,調査の遂行上必要な範囲の外に漏えいすることのないよう十分配慮しなければならない。
7
告発者,被告発者及びその他当該告発に係る事案に関係する者は,調査が円滑に実施できるよう積極的に協力し,真実を忠実に述べるなど,調査委員会の本調査に誠実に協力しなければならない。
(資料等の保全等)
第29条
本調査委員会は,本調査に当たり,告発に係る研究活動に関する資料等を保全する措置を行う。
2
前項の資料等が本学以外の他の機関にあるときは,本学は,当該機関に対して資料等の保全を要請するものとする。
3
本学は,前2項の措置に影響しない範囲内において,被告発者の研究活動を制限しない。
ただし,学長が特に必要があると認めたときは,告発に関連する研究活動の停止を命じることがある。
(被告発者の説明責任)
第30条
本調査委員会の調査において,被告発者が告発の疑惑を晴らそうとするときは,自己の責任において,当該研究活動が科学的に適正な方法及び手続に基づいて行われたこと並びに論文等がそれに基づいて適切な表現で執筆されたものであることを,科学的根拠を示して説明しなければならない。
(認定)
第31条
本調査委員会は,調査した内容を取りまとめ,特定不正行為の有無を認定する。
2
前項の認定は,原則として本調査委員会が調査を開始した日から概ね150日以内に行うものとする。
3
本調査委員会は,特定不正行為が行われたと認定したときは,その内容,特定不正行為に関与した者及びその関与の度合い並びに特定不正行為と認定した研究活動に係る論文等の各著者の当該論文等及び当該研究活動における役割を認定するものとする。
4
本調査委員会は,特定不正行為が行われていないと認定した場合であって,調査を通じて告発が悪意に基づいたものであることが判明したときは,その旨を併せて認定するものとする。
5
前項の認定を行うに当たっては,本調査委員会は,告発者に弁明の機会を与えなければならない。
6
本調査委員会は,第1項,第3項及び第4項の認定を行ったときは,直ちに学長に認定結果を報告しなければならない。
(認定の判断基準)
第32条
前条第1項の認定に当たっては,本調査委員会は,第30条に定める被告発者からの説明及び調査によって得られた物的?科学的証拠,証言,被告発者の自認等の諸証拠を総合的に判断して行うものとする。
ただし,被告発者の自認等を唯一の証拠として特定不正行為と認定することはできないものとする。
2
前項の判断に当たっては,被告発者の研究体制,データチェックの仕方等,様々な観点から客観的な不正行為の事実,故意性等について,十分に検討するものとする。
3
本調査委員会は,特定不正行為に関する証拠が提出された場合には,被告発者の説明その他調査により得られた証拠によって,特定不正行為の疑いが覆されないときは,特定不正行為があったものと認定するものとする。
4
被告発者が,生データ,実験?観察ノート,実験試料?試薬の不存在等,本来,存在すべきであると本調査委員会が判断する基本的な要素の不足により特定不正行為であることの疑いを覆すに足る証拠を示せないとき(被告発者が善良な管理者の注意義務を履行していたにもかかわらず,その責によらない事由によりその基本的な要素を十分に示すことができなくなった場合等,正当な理由があると本調査委員会が認める場合並びに生データ,実験?観察ノート,実験材料?試薬等の不存在等が,各研究分野の特性に応じた合理的な保存期間及び本学又は告発に係る研究活動を行っていた機関が定める保存期間を超えることによるものである場合を除く。)も前項と同様とする。
(調査結果等の通知等)
第33条
学長は,調査結果(認定を含む。以下同じ。)を速やかに告発者及び被告発者(被告発者以外の者で,特定不正行為に関与したと認定したものを含む。以下同じ。)に通知する。
2
被告発者が本学以外の機関に所属している場合は,当該機関に当該調査結果を前項の通知と併せて通知するものとする。
3
学長は,前2項に定めるもののほか,当該事案に係る配分機関及び関係府省に当該調査結果を報告するものとする。
4
学長は,悪意に基づく告発と認定された場合で,告発者の所属する機関が本学以外の機関であるときは,当該所属機関にその旨を通知する。
5
学長は,告発に係る研究活動の配分機関から請求があった場合は,調査の終了前であっても調査の中間報告を当該機関に行うものとする。
(不服申立て)
第34条
特定不正行為と認定された被告発者及び告発が悪意に基づくものと認定された告発者は,前条第1項に規定する通知を受け取った日から14日以内に不服を学長に申し立てることができる。
ただし,同一理由による不服申立てを繰り返すことはできない。
2
前項に定める期日までに不服申立てがない場合は,被告発者及び告発者は本調査委員会による認定に異議がないものとみなす。
(不服申立ての審査)
第35条
前条第1項に規定する不服申立ての審査は,本調査委員会が行う。
2
前項の規定にかかわらず,学長は,不服申立てについて,本調査委員会の構成の変更等を必要とする相当な理由があると認めたときは,調査委員を交代若しくは追加すること又は本調査委員会に代えて他の者に審査をさせることができる。
3
本調査委員会又は前項に規定する本調査委員会に代わる者(以下「本調査委員会等」という。)は,特定不正行為があったと認定した被告発者から不服申立てがあった場合は,不服申立ての趣旨,理由等を勘案し,当該事案の再調査の必要性を速やかに判断するものとする。
4
本調査委員会等は,前項に規定する判断の結果,不服申立てを却下することを決定したときは,その旨を直ちに学長に報告するものとする。
5
本調査委員会等は,第3項に規定する判断の結果,再調査を行うことを決定したときは,被告発者に対し先の調査を覆すに足る資料の提出等の再調査の協力を求めるものとする。
6
前項に規定する場合において,被告発者の協力を得られない場合は,本調査委員会等は再調査を行わず,審査を打ち切ることができるものとし,審査を打ち切ったときは,その旨を直ちに学長に報告する。
7
本調査委員会等は,第5項の再調査を開始したときは,再調査を開始した日から概ね50日以内に審査結果を決定し,その結果を直ちに学長に報告するものとする。
8
本調査委員会等は,悪意に基づく告発と認定した告発者から不服申立てがあった場合は,再調査を行うものとし,再調査を開始した日から概ね30日以内に調査し,その結果を直ちに学長に報告するものとする。
9
本学は,不服の申立てが当該事案の引き伸ばし又は認定に伴う各措置の先送りを主な目的とすると調査委員会等が判断するときは,以後の不服申立てを受け付けないものとする。
(不服申立てに係る関係者への通知等)
第36条
学長は,第34条第1項に規定する不服申立てがあったときは,その旨を告発者又は被告発者に通知し,並びに当該事案に係る配分機関及び関係府省に報告するものとする。
2
学長は,前条第4項及び第5項に規定する報告に基づく決定を行ったときは,その旨を被告発者に通知するとともに,当該事案に係る配分機関及び関係府省に報告するものとする。
3
学長は,前条第7項の審査結果を被告発者,被告発者が所属する本学以外の機関及び告発者に通知するとともに,当該事案に係る配分機関及び関係府省に報告するものとする。
(調査結果の公表)
第37条
学長は,本調査委員会の調査の結果,特定不正行為が行われたと認定したときは,速やかに公表するものとする。
2
学長は,特定不正行為が行われなかったと認定したときは,公表しない。
ただし,調査事案が外部に漏えいしていた場合及び論文等に故意によるものでない誤りがあった場合は,この限りではない。
3
前項の規定にかかわらず,学長は,告発が悪意に基づくものであると認定した場合は,調査結果を公表するものとする。
4
前各項に規定する公表の内容は,次に定めるところによるものとする。
(1)
第1項に規定する公表内容は,特定不正行為に関与した者の氏名?所属,特定不正行為の内容,本学が公表時までに行った措置の内容,本調査委員会の氏名?所属,調査の方法?手順等を含むものとする。
(2)
第2項ただし書に基づく公表内容は,研究活動上の不正がなかったこと,論文等に故意によるものではない誤りがあったこと,被告発者の氏名?所属,調査委員会の氏名?所属,調査の方法?手順等を含むものとする。
(3)
第3項に規定する公表内容は,告発者の氏名?所属,調査の方法?手順等を公表する。
5
前項各号の規定に関わらず,事案の内容により学長が特に必要があると認めたときは,前項各号の公表内容の一部を公表しないことがある。
(特定不正行為認定後の措置)
第38条
学長は,特定不正行為の関与を認定した者及び特定不正行為に関与したとまでは認定されないが特定不正行為が認定された論文等の内容に責任を負うものとして認定された著者(以下「被認定者」という。)が本学研究者の場合は,国立大学法人金沢大学就業規則等(以下「規則等」という。)に定めるところにより必要な措置を行うとともに,論文等の取下げを勧告するものとする。
(研究費の使用中止)
第39条
学長は,特定不正行為を認定した事案に係る研究費の使用中止を被認定者に命ずることがある。
(悪意に基づく告発者への措置)
第40条
学長は,特定不正行為が行われていないと認定した場合であって,告発者が悪意をもって告発したことを認定したときは,告発者の氏名の公表及び告発者に対して規則等に基づく必要な措置を行うことがある。
(雑則)
第41条
この規程に定めるもののほか,研究活動の不正行為防止等に関し必要な事項は学長が別に定める。
附 則
この規程は,平成27年4月1日から施行する。
附 則
この規程は,令和4年9月16日から施行する。